市民版環境白書2021グリーン・ウォッチを発行しました(2021年6月)

市民版環境白書2021グリーン・ウォッチ

2015 年6月5日に設立されたグリーン連合もこの6月で7年目に入ります。活動の一環として、政府とは異なる市民の視点から環境の現状や問題点を分析し、より良い解決の方向性を示すことを目的として、設立年から毎年発行してきた市民版環境白書「グリーン・ウォッチ」も今年の 2021年版で6冊目です。

この6年の間にも、気候変動に伴う気象災害の激化、化学物質による人の健康や生態系への影響、プラスチックごみによる海洋汚染など私たちを取り巻く環境の悪化は進行しています。加えて、昨年来の新型コロナウイルスの感染拡大は日本のみならず世界中で猛威を振っており、私たちは様々なリスクを抱えながら、生きていかなければならない厳しい時代に直面しています。

昨年の白書では、環境問題とコロナ感染症の問題はともに、利便性・快適性を過度に追い求めてきた私たちの暮らし方やグローバル化した社会経済の仕組みが深く関わっていること、そのため解決に向けては、私たち一人ひとりの行動変容と併せて、科学的根拠に基づく倫理的で政治的な判断と人類の叡智に基づく大きな社会変革が必要なことを記しました。そこで今回の白書では、これまで同様に、主要な環境問題の現状と課題、解決の方向性を示すとともに、環境問題と感染症の関わりにも配慮した編集を行いました。

第1章「脱炭素社会に向けて」では、気候変動による気温上昇が感染症リスクを増大させる可能性が高いことや、コロナ後の社会は元に戻るのではなく、再生可能エネルギーの利用や新たな雇用創出も含め気候変動や感染症などの危機にも耐えうる社会を作ることの重要性とそのための一つの試案を示しました。

第2章「使いすぎからの脱却」では、コロナ感染拡大により使い捨てプラスチックごみが急増している現状やそれへの新たな対策、感染予防のための消毒・除菌・抗菌製品の過剰使用が私たちの健康のみならず環境にも大きな負荷を与えている現状やそれを回避する正しい使用法について述べています。

第3章では、10 年の節目を迎えた東京電力福島第一原子力発電所事故について、ますます困難になっている事故処理の課題や福島の復興の現状について述べています。

さらに、グリーン連合が国立環境研究所と協力して実施した「日本の環境 NPO/NGO の活動と課題に関するアンケート調査」の結果についても掲載し、これからの市民社会を考える素材を提供しています。

2021年 5月25日 第1刷発行
編集者:グリーン連合「グリーン・ウォッチ」編集委員会
発行:グリーン連合