お知らせ

【意見書】第6次エネルギー基本計画(案)への意見

第6次エネルギー基本計画(案)への意見

2021年10月1日

グリーン連合 共同代表 藤村コノヱ、中下裕子、杦本育生
幹事 松原弘直、桃井貴子、坂本有希

  • 再生可能エネルギー100%を目標に2050年カーボンニュートラルを目指すこと

 2030年には原発ゼロ、石炭ゼロで再生可能エネルギー電源50%以上を目標とし、CO2(二酸化炭素)排出量も60%削減を目指す必要がある。さらに2050年には全エネルギー消費量に対して再生可能エネルギー100%社会を実現することで、カーボンニュートラルを目指す。欧州では、すでに再生可能電源の割合が平均40%に達しており、2030年には60%程度を目指している。さらに、再生可能エネルギー100%を目指す国もあり、日本でも再生可能エネルギー100%の目標を掲げ、明確なロードマップを策定する必要がある。

 火力発電を2050年までに脱炭素化しようとする水素・アンモニアあるいはCCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)などの技術は現実性に乏しく、コストも非常に高く、脱炭素化のソリューションとすべきではない。

  • 全ての原子力発電所を廃止し、脱炭素電源は再生可能エネルギーだけにすること

 東京電力福島第一原子力発電所事故に踏まえれば原発のリスクは回避が困難で、損害賠償制度も現実には成立せず、社会的にも経済的にも安全性を確保することは不可能である。使用済核燃料や放射性廃棄物の処理の問題も解決は困難であり、2030年より早期の原発ゼロを前提とすべきである。

 3.11以降、原発の発電電力量は一旦ゼロ(2014年度)となり、2020年度の発電電力量は4%未満で、東日本の原発は未だに稼働ゼロの状況にある。政府および原子力事業者は、福島第一原発事故から10年が経過した現在も、いまだに「安全神話」に陥ったままであり、国民の信頼が損なわれている中で、原発の再稼働など進めるべきではない。またすでに稼働している原発についても安全を再優先するためには停止するしかない。こうしたことを踏まえて、全ての原発の廃止措置を政府と原子力事業者が責任をもって、適切に進めるべきである。

  • 2030年までに石炭火力は全廃し、LNG火力も新規建設禁止とすること

 気候危機を回避するためには、2020年以降の石炭火力の新設を禁止するとともに、既存の石炭火力を2030年までに段階的全廃(フェーズアウト)する必要がある。2030年に電源構成のうち石炭火力
を19%も残す政府案は、温室効果ガスの削減目標である2030年46~50%削減、2050年実質ゼロの実現にも水を差すものである。また、LNG(液化天然ガス)であっても新たに化石燃料の火力発電所を稼働することは気候を悪化させることにつながるため、禁止すべきである。

  • 省エネルギーを大原則とし、ライフスタイルの見直しやエネルギーシステムの根本的な改革に取り組むこと

 脱炭素社会に向けては省エネを大原則とし、当面の2030年に向けて電力需要を3割以上削減し、再生可能エネルギーによる電化を進めながらエネルギー消費量全体を4割削減することを目指す必要がある。

 そのためには、エネルギー消費の少ない健康で心豊かなライフスタイルへの転換、建築物の省エネ化、歩いて移動できる脱炭素型のまちづくりや公共交通インフラ整備など、これまでとは異なる暮らしや社会の構築が不可欠である。そしてそれらを促進するために、先端技術だけに頼るのではなく、既存の脱炭素型技術の活用と合わせて、私たちの価値観の転換を促す教育、省エネルギーを促進する研究、エネルギーシステムそのものの抜本的見直し、カーボンプライシングなど経済的政策の導入など、あらゆる手段を講じるべきである。そしてすべての暮らしと、それを支える社会経済活動の基盤である環境を主軸に置いた、持続可能なエネルギー政策とそのためのロードマップを明確に示すべきである

  • 民意を反映した市民参加の政策決定プロセスを制度として確立すること

 環境・エネルギーに係る政策は、私たち市民の暮らしに直結する政策である。そのため、地球サミットで採択された「リオ宣言」(1992年6月)の第10原則には、「環境問題は、それぞれのレベルで、関心のあるすべての市民が参加することにより最も適切に扱われる。」旨明記されている。さらにこの原則を条約にした「オーフス条約」(日本は未批准)では、環境に関する情報へのアクセス、意思決定における公衆参画、司法へのアクセスへの権利が保証されるなど、市民参加の重要性は国際的にも認識されている。

 しかし、日本では、エネルギー基本計画を審議する総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の委員の多くが産業界寄りであり、エネルギーと表裏一体である気候変動が主要課題といっても過言ではない中、環境団体を代表する委員は加わっていない。このような政策決定プロセスでは、世界的な課題である気候変動問題の根本的な解決や脱炭素社会に向けた政策が議論されないまま、従来型のエネルギーありきの議論に終始してしまい、再び国際社会から強く批判される環境・エネルギー政策になりかねない。

 気候変動やエネルギーに係る政策の影響をもろに受けるのも私たち市民だが、その政策決定過程への市民の参画やそのための情報アクセスが不十分な現況は、国際社会の一員である日本として恥ずべき実態であり、国際ルールにも反するものである。そうしたことから、早急に環境・エネルギー政策決定プロセスにおける市民参加を制度として導入すべきである。

以上

【開催報告(8/21)】グリーン連合オンライン勉強会~第6次エネルギー基本計画案の問題点

グリーン連合オンライン勉強会~第6次エネルギー基本計画案の問題点

※プレゼン資料と録画を掲載しています。

世界中で気候危機が叫ばれ、気象災害が頻発する中で、世界各国、都市や企業が脱炭素・カーボンニュートラルを目指して動き出しています。日本政府も2050年カーボンニュートラルを宣言し、2030年温室効果ガス46%削減(2013年比)を目指す中、3年に一度改正される国の第6次エネルギー基本計画の案が示されました。しかし、その内容には本質的な気候変動対策や再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、石炭火力や原発への依存など多くの問題があります。そこで、この新たなエネルギー基本計画案の内容を共有し、その問題点についてみなさんと共に議論しました。多くの方にご参加頂き、ありがとうございました。

日時:2021年8月21日(土)16:00-17:00
会場:オンライン(Zoomウェビナー)
主催:グリーン連合
参加費:無料

プログラム:
16:00 開会挨拶
情報提供:「第6次エネルギー基本計画案の問題点」 [資料]
環境エネルギー政策研究所(ISEP)理事・主席研究員 松原弘直
コメント:「気候危機とエネルギー基本計画」
気候ネットワーク東京事務所長 桃井貴子 [資料]
質疑応答&ディスカッション
17:00 閉会

【意見書】福島第一原発ALPS等処理水(汚染水)の海洋放出に強く反対します

意見書

2021年7月1日
グリーン連合
共同代表 藤村コノヱ、中下裕子、杦本育生

菅義偉政権は、4月13日、「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」「地元関係者の理解を得ながら対策を実施することとし、海洋への安易な放出は行わない」旨のこれまでの地元関係者と東京電力、経産省間の約束文書を反故にして、福島第一原発で発生しているALPS等処理水(以下、「汚染水」という)の海洋放出を閣議決定しました。これに対し、福島県漁協連をはじめ、同農協中央会、同森林組合連、同生協連、地産地消ふくしまネットの5団体は、4月30日、意思決定プロセスへの遺憾の意を表するとともに、海洋放出に反対する旨の共同声明を発表しました。また、原子力資料情報室、原子力市民委員会、FoEジャパン、グリーンピースジャパンなどの市民団体からも反対の意見が発表され、さらに韓国、中国など周辺の国々からも反対の声が上がっています。

 日本の環境団体の連合組織であるグリーン連合も、上記の非民主的な意思決定プロセスに加え、以下の理由により、汚染水の海洋放出に強く反対します。

1. 汚染水にはトリチウムの他にも有害な放射性物質が基準を超えて含まれていること

 政府は、トリチウムの安全性を強調している。しかし、汚染水には、通常の原発からの排水と異なり、トリチウムのみならず、ヨウ素129、ルテニウム106、ストロンチウム90などの放射性物質が基準を超えて残存していることが明らかになっている。タンクに貯められている水の約7割で、トリチウム以外の62の放射性核種の濃度が全体として排出基準を上回っており、最大で基準の2万倍になっている。政府は基準に適合するように2次処理をした上で希釈して放出するとしているが、処理・希釈しても62核種が排出されることは変わらず、これにより、海洋を汚染し、食物連鎖を介して人の健康や生態系に悪影響を及ぼす恐れがあることは否定できない。

 また、トリチウムについても、安全性について懸念を表する専門家もおり、決して安全性が保証されている訳ではない。しかも、希釈しても排出総量(約2000兆ベクレル)は変わらず、年間22兆ベクレルの放出量は事故前の放出量(年間1.5~2.5兆ベクレル)の約10倍である。それが数十年にわたって続けば海洋生態系に及ぼす影響は無視できる量ではない。

2. 海洋放出の前に汚染水を止水すべきであること

 汚染水が増え続けている原因は、メルトダウンした燃料が落下した原子炉建屋地下への地下水流入が続いていることにある。この点については、2013年当時、山側に遮水板を設置する案が強力に主張されたにもかかわらず、新技術なら国費345億円が使えるという理由で凍土壁案を採用、しかし結果的には完全な遮水はできず、汚染水が増え続けるという現状を招いており、明らかに政策の失敗と言わざるを得ない。

 そのことを放置したまま、他の止水策を講じることなく、海洋放出を行うことは、到底、関係者や国民、さらには国際世論を納得させることができない。速やかに、失策の経過を検証するとともに、遮水壁を設置することにより汚染水の更なる発生を防止し、海洋放出を回避すべきである。

3. 人類共有の財産である海洋の汚染を防止し、豊かな海洋と海洋資源を守ることは国際社会における日本の責任

 近年、海洋環境の保全は、国際環境問題における重要なテーマのひとつとなっており、ロンドン条約、国連海洋法、さらにはSDGsの目標14にも、そのことが明記されている。

 福島第一原発事故の責任は国・東電にあり、それによる汚染問題は汚染国の国内において処理すべきであって、海洋放出により世界中の人々の共有財産である「豊かな海」を汚すことは許されない。

 以上のとおり、国は、海洋放出の方針をすみやかに撤回し、まず汚染水を止水したうえで、国内管理策に関して、地域住民を含む様々なステークホルダー参加の下で決定すべきです。

以上

【開催報告】市民版環境白書2021グリーンウォッチ発行記念シンポジウム(6/9)

市民版環境白書2021グリーンウォッチ発行記念シンポジウム

2015年に発足したグリーン連合では、6冊目となる「市民版環境白書20201グリーン・ウォッチ」を発行しました。今回は、いつもの気候変動、再エネ、化学物質、プラスチック問題、福島などのテーマに加え、新型コロナウイルスにも着目した内容となっています。2021グリーン・ウォッチの発行を記念してオンラインでシンポジウムを開催しますので、全国から多くの方にご参加いただきました。※講演資料とオンライン動画を掲載しました。

日時:2021年6月9日(水)13:30 – 16:00
主催:グリーン連合
開催方法:オンライン(Zoomウェビナー)
参加費:無料

プログラム:

13:30 開会挨拶

講演1:「新型コロナウイルス対策の消毒剤とワクチンの現状と問題点」
環境脳神経科学情報センター副代表  木村-黒田 純子 氏 [資料]

講演2:「日本のグリーン・リカバリーの現状と課題」 [資料]
東北大学教授  明日香 壽川 氏

各章の概要説明:

  • 気候変動: 桃井貴子(気候ネットワーク)[資料]
  • 再エネ: 松原弘直(環境エネルギー政策研究所)[資料]
  • 化学物質: 中下裕子(ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議)[資料]
  • プラスチック: 天野路子(地球・人間環境フォーラム)[資料]
  • 福島: 伴英幸(原子力資料情報室)[資料]
  • アンケート結果: 藤村コノヱ(環境文明21)[資料]

16:00 閉会

※「市民版環境白書2021グリーン・ウォッチ」は、こちらからダウンロードできます。

【プレスリリース】「市民版環境白書2021グリーン・ウォッチ」発行

「市民版環境白書2021グリーン・ウォッチ」発行

環境問題とコロナ感染症との関わりを考える

国内81団体の環境NGO/NPOから構成されるグリーン連合は、今年6月、「市民版環境白書2021グリーン・ウォッチ」を発行しました。グリーン連合は、2015年6月5日(環境の日)に、気候変動や化学物質汚染など様々な環境問題に取り組む国内の環境NPO/NGOの連合として設立された組織です。グリーン連合では、発足以来、政府や国会議員などに積極的に働きかけ、懇談や意見共有の場を設けてきました。また、NPO/NGOが社会の持続性を支える不可欠なセクターとして、より多くの市民の支持を得られる力強い存在になることを目指して市民社会へと働きかけてきました。

グリーン連合もこの6月で7年目に入ります。活動の一環として、政府とは異なる市民の視点から環境の現状や問題点を分析し、より良い解決の方向性を示すことを目的として、設立年から毎年発行してきた市民版環境白書「グリーン・ウォッチ」も今年の 2021年版で6冊目です。

この6年の間にも、気候変動に伴う気象災害の激化、化学物質による人の健康や生態系への影響、プラスチックごみによる海洋汚染など私たちを取り巻く環境の悪化は進行しています。加えて、昨年来の新型コロナウイルスの感染拡大は日本のみならず世界中で猛威を振っており、私たちは様々なリスクを抱えながら、生きていかなければならない厳しい時代に直面しています。

昨年の白書では、環境問題とコロナ感染症の問題はともに、利便性・快適性を過度に追い求めてきた私たちの暮らし方やグローバル化した社会経済の仕組みが深く関わっていること、そのため解決に向けては、私たち一人ひとりの行動変容と併せて、科学的根拠に基づく倫理的で政治的な判断と人類の叡智に基づく大きな社会変革が必要なことを記しました。

そこで今回の白書では、これまで同様に、主要な環境問題の現状と課題、解決の方向性を示すとともに、環境問題とコロナ感染症との関わりにも配慮した編集を行いました。

※グリーン・ウォッチのダウンロード(PDF)は、こちらのページから。

※冊子(有料:500円/部)を希望される方は、こちらからお問合せください(希望部数、送付先をご記入ください)。

【意見書】「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」に対する意見書の提出について

「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」に対する意見書の提出について

意見書(PDF)

グリーン連合
共同代表 杦 本 育 生
同    藤 村 コノヱ
同    中 下 裕 子

2021(令和3)年3月、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」(以下「本法案」という)が内閣から提出され、今国会での成立が目指されている。

プラスチック廃棄物問題については、海洋プラスチック汚染の深刻化により国際的課題として取組みがなされ、2019年6月のG20大阪ブルー・オーシャン・ビジョンでは「2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的汚染をゼロにまで削減する」との目標が明記された。

一方、2020年10月には日本でも「2050年カーボンニュートラル(脱炭素)宣言」がなされたことから、石油由来のプラスチックについても、脱炭素の観点からの取組みが求められる。

このような状況において、プラスチック問題の解決については、単に廃棄物管理の強化にとどまらず、「2050年カーボンニュートラル」への貢献も含め、プラスチックの大幅な総量削減と3Rの優先順位に従った循環利用の徹底を通じて、サーキュラー・エコノミー社会を早期に構築していくことが求められており、そのためには、大胆な施策を段階的・計画的、かつ着実に実施していく必要がある。

しかしながら、本法案では、2050年までの中間の年次における削減の数値目標が明記されておらず、規制的措置やカーボンプライシング等の経済的手法も含まれていない単なる促進法にとどまっており、極めて不十分である。

「グリーン連合」は、日本が2019年G20議長国として率先してサーキュラー・エコノミー社会を実現するために、本法案に下記内容を盛り込むことを提言する。

① 2050年石油由来のバージンプラスチックの製造ゼロを目指して、市民参加の下に、バックキャスティング手法により目標年次を定めてプラスチックの総量削減に取り組むこと。

② 事業者の自主的取組みだけでなく、生産者よる回収義務をはじめとする生産者の責任の強化、有害化学物質管理などの規制的手法や、カーボンプライシングの導入などの効果的な措置を講じること。

③ リデュース・リユース・リサイクル・熱回収の比率についての年次目標を、3Rの優先順位に従った形で明確化すること。

④ 2030年使い捨てプラスチックゼロを目標として掲げ、その実現のために、拡大生産者責任を徹底し、製造や提供を禁止するなどして計画的に削減を進めること。

⑤ マイクロカプセルを含めてマイクロプラスチックの意図的製造を禁止するとともに、漁具の回収を義務化するなど効果的な流出防止策を講じること。

以上

【お知らせ】日本の環境NPO/NGOの活動と課題についてのアンケート調査結果

国立環境研究所の研究者が、グリーン連合と協力して日本の環境NPO/NGOの活動と課題に関するアンケート調査を実施し、その結果が2021年4月に公表されました。

グリーン連合からの報告書はこちらからダウンロードできます。

国立環境研究所から、アンケート項目など掲載した報告書が公表されているので、詳細を知りたい方は併せて、こちらをご覧ください。まとめの部分(P.41)が異なります。

1992年の地球サミットで採択されたアジェンダ21において非政府組織の役割強化が明記されて以来、日本においても環境NPO/NGOの役割が認識されてきました。2015年に国連総会で採択されたSDGsにおいても、市民社会組織の役割が明記されています。このように環境NPO/NGOの活動のエンパワーメントが期待される一方、新型コロナウイルスの感染拡大なども影響して、活動が停滞・遅延している状況にも直面しています。
そこで本調査では、短期的・長期的の両方の観点から環境NPO/NGOの最新の活動実態と課題を明らかにすること、また、日本の環境NPO/NGOの最新の活動実態を明らかにしその将来展望に示唆を与える情報ならびに活動の基本情報を取得することを目的として、国立環境研究所の研究者とグリーン連合が協力してアンケート調査を実施しました。

【プレスリリース】「あと4年、未来を守れるのは今」キャンペーンを開始

≺プレスリリース≻

2020年12月10日

「あと4年、未来を守れるのは今」キャンペーンを開始
〜パリ協定5周年を迎え、環境団体など67団体が
気候・エネルギー対策の強化を政府に要求〜

気候関連NGOをはじめとする呼びかけ団体および賛同団体は、12月12日のパリ協定5周年を目前に控え、パリ協定と整合的な削減目標とエネルギー政策の見直しを求めて「あと4年、未来を守れるのは今」キャンペーンを開始します。

政府は現在、「地球温暖化対策計画」と「エネルギー基本計画」の見直し作業を行なっています。今回の見直しは、すでに現実化している気候危機に歯止めをかけるために、パリ協定の1.5度目標と整合的な排出削減目標と道筋を形づくる上で、極めて重要です。本目標を達成するためには、2030年には温室効果ガスの排出を世界全体で半減させる必要があると言われています。しかし、今のままの排出が続いた場合、4年後の2025年から毎年前年比で、非現実的とも言える15%以上の削減をしなければ半減をできないとされています(注1)。昨日公表された「排出ギャップレポート2020」によれば、コロナ禍による今年の排出減は7%程度となる見通しであり、各国の2050年温室効果ガス排出実質ゼロ宣言に、2030年の野心的目標を含む、具体的な計画に落とし込む必要性を強調しています(注2)。

私たちは今まさに岐路に立っていると言えます。日本が今後「4年」どのような気候・エネルギー政策を実行するかで、私たちの未来が決定される最も大事な節目を迎えています。今こそ、再生可能エネルギーへの大幅な転換及び新型コロナウイルス感染からのグリーンな経済回復策を追求すべきときです。

私たち「あと4年、未来を守れるのは今」キャンペーンの呼びかけ・賛同団体は、政府がパリ協定の1.5℃目標に整合した見直しを、原発や現在実用化されていない技術に頼らず、一般の市民、とりわけ将来の環境の影響を受ける若い世代を含むオープンな議論に基づき速やかに行うことを強く要求します。

このキャンペーンは本日からの署名活動に始まり、賛同している各団体がそれぞれ様々な企画を実行して、幅広く市民の声を届けるムーブメントを展開することを目指しています。

(注1)2019年11月に国連環境計画(UNEP)が発表した「排出ギャップレポート(Emissions Gap Report 2019)」によれば、1.5度目標の達成には、2020年から毎年7.6%ずつ温室効果ガスの排出を削減する必要がある。排出削減が遅れるほど、達成可能性が低くなり、2025年まで遅れた場合、毎年15.5%もの排出削減が必要となり、これはほぼ不可能であると述べている。一方で、毎年7.6%減は野心的ではあるが、不可能ではないと述べている。https://www.unenvironment.org/interactive/emissions-gap-report/2019/

(注2)https://www.unep.org/interactive/emissions-gap-report/2020/

 

【呼びかけ団体 22団体】(数字、アルファベット、五十音順)

350.org Japan、CAN-Japan、eシフト、Fridays For Future Fukuoka、Fridays For Future Kagoshima、Fridays For Future Kyoto、Fridays For Future Nasu、Fridays For Future Osaka、Fridays For Future Shizuoka、Fridays For Future Yokosuka、Green TEA、Protect Our Winters Japan、PV-Net、Spiral Club、環境エネルギー政策研究所、気候ネットワーク
グリーン連合、原子力資料情報室、原水爆禁止日本国民会議、国際環境NGO FoE Japan、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン、市民電力連絡会

【賛同団体 45団体】

350 Eigo、350Tokyo、350 中四国ネットワーク、Climate Live Japan実行委員会、Fridays For Future IWATE、Fridays For Future Sendai、Fridays For Future 大宰府、HAHA PROJECT
imageMILL株式会社、LITTLE ARTISTS LEAGUE、NPOレインボー、NPO地域環境デザイン研究所、ecotone、NPO法人こがねい市民発電、NPO法人みたか市民協同発電、NPO法人ワン・シード
NPO法人上田市民エネルギー、NPO法人世田谷みんなのエネルギー、NPO法人北海道グリーンファンド、poco a poco ~あったか未来をつくる会~ from Hiroshima、PV-Net東京、R水素ネットワーク、サステナビリティ日本フォーラム、ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン、ふぇみん婦人民主クラブ、ブルーアースネット広島、ベクレルフリー北海道、一般社団法人 アクト・ビヨンド・トラスト、一般社団法人自然エネルギー共同設置推進機構、一般社団法人所沢市民ソーラー、一般社団法人大磯エネシフト、株式会社ALPHABETCITY、(株)DEPT Company、環境まちづくりNPOエコメッセ、環境市民、市民エネルギーとっとり、自然エネルギー信州ネット、神戸の石炭火力発電を考える会、石炭火力を考える東京湾の会、蘇我石炭火力発電所計画を考える会、足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ、袖ヶ浦市民が望む政策研究所、地球救出アクション97、電力改革プロジェクト、特定非営利活動法人元気力発電所、認定NPO法人環境文明21

本キャンペーンのHP

ATO4NEN あと4年 未来を守れるのは今

本件に関する問い合わせ

350.org Japan E-mail:japan@350.org

【声明】環境・エネルギー政策にもっと市民の意見の反映を

環境・エネルギー政策にもっと市民の意見の反映を

2020年10月23日
「グリーン連合」共同代表
藤村コノヱ、杦本育生、中下裕子

 環境・エネルギーに係る政策は、私たち市民の暮らしに直結する政策です。そのため、1992年6月に開催された国連環境・開発会議(地球サミット)において全会一致で採択された「リオ宣言」の第10原則には、「環境問題は、それぞれのレベルで、関心のあるすべての市民が参加することにより最も適切に扱われる。」旨明記されています。

また、この原則を条約にした「オーフス条約」では、環境に関する情報へのアクセス、意思決定における公衆参画、司法へのアクセスへの権利が保証されています。(残念ながら日本は締約国になっていません。)

にもかかわらず、わが国では、従来から環境・エネルギー分野の多くの政策が、政府と特定の専門家・業界関係者により決定されてきた経緯があることから、私たち市民団体は、偏った政策形成過程の改善と、真の市民参画の必要性について要望を重ねてきました。

しかし、この分野における政策決定過程への市民の関与はいまだ不十分な状況にあり、特に最近はその傾向に拍車がかかっているようです。

例えば、福島原発事故に伴う汚染水処理について、経済産業省「多核種除去設備等処理水の取扱に関する小委員会」がまとめた報告書(今年2月)で、海洋放出案が「現実的な選択肢である」と結論づけて以来、政府は、直接、一般市民を対象とした説明会や公聴会は行わず、政府側が選んだ「関係団体」からのみ、きわめて形式的な聴き取りを行うだけです。

また、電力自由化の中でも電力市場を寡占している大手電力会社が持つ既設の原発や石炭火力発電所を維持するために、国民から新たに費用を取り立てようとする「容量市場」を始め、「非化石価値取引市場」など新たな電力市場の問題が浮上しています。この他にも電力自由化の中で国民が知らない間に、電気料金の一部である託送料金の中に福島第一原発事故の賠償負担金や不足している原発の廃炉円滑化負担金などが含まれるなど、政府と関係者の間だけで議論が進み、様々なエネルギー政策が決定されてきています。

さらに現在議論が進められている第6次エネルギー基本計画についても、議論の中心となる総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の委員の多くが産業界寄りであり、エネルギーと表裏一体である気候変動が主要課題といっても過言ではない中、環境団体を代表する委員は加わっていません。これでは世界的な課題である気候変動問題の根本的な解決や脱炭素社会に向けた政策ではなく、従来型のエネルギーありきの議論に終始してしまい、再び国際社会から強く批判される環境・エネルギー政策になりかねません。

気候変動やエネルギーなどは、すべて私たちの暮らしと密接に関わる問題であり、政策の影響をもろに受けるのも私たち市民です。

にもかかわらず、その政策決定過程への市民の参画やそのための情報アクセスが不十分である状況は、国際社会の一員である日本として恥ずべき実態であり、少なくとも先進国においては確立されたルールにも反することから、早急の改善を強く求めるものです。

【参考】

〇1992年6月にリオで開催された「国連環境・開発会議」(地球サミット)において全会一致で採択された「リオ宣言」の第10原則

『環境問題は、それぞれのレベルで、関心のあるすべての市民が参加することにより最も適切に扱われる。国内レベルでは、各個人が、有害物質や地域社会における活動の情報を含め、公共機関が有している環境関連情報を適切に入手し、そして、意思決定過程に参加する機会を有しなくてはならない。各国は、情報を広く行き渡らせることにより、国民の啓発と参加を促進し、かつ奨励しなくてはならない。賠償、救済を含む手法及び行政手続きへの効果的なアクセスが与えられなければならない。』

〇「オーフス条約」(正式名称:環境問題における情報アクセス、意思決定への市民参加及び司法へのアクセスに関する条約」)の第1 目的

『現在及び将来の世代のすべての人々が、健康と福利に適した環境のもとで生きる権利の 保護に貢献するため、締約国はこの条約の規定にしたがって、環境に関する、情報への アクセス、意思決定における公衆参画、司法へのアクセスへの権利を保証する。』

【開催報告】市民版環境白書2020グリーンウォッチ発行記念シンポジウム

市民版環境白書2020グリーンウォッチ発行記念シンポジウム

2015年に発足したグリーン連合では、5冊目となる「市民版環境白書2020グリーン・ウォッチ」を発行しました。今回も気候変動、再生可能エネルギー、生物多様性・森林破壊、化学物質、そして福島第一原発と、多岐にわたる環境問題に対して市民の視点から現状を分析しています。2020グリーン・ウォッチの発行を記念してオンラインでシンポジウムを開催しました。全国から多くの方に参加をして頂きました。※講演資料とオンライン動画を掲載しました。

日時:2020年6月24日(水)13:30 – 16:00 (13:15開場)
主催:グリーン連合
開催方法:オンライン(Zoom)
参加費:無料(要事前申込み) ※多くのご参加をありがとうございました。

プログラム

第1部 開会挨拶および趣旨説明

「自分事としてとらえて行動を!」[資料(PDF)]
藤村コノヱ(環境文明21)

第2部 グリーン・ウォッチ2020の概要紹介

  1. 脱炭素に向けた最近の動向
    ・「気候変動」から「気候危機」問題へ [資料(PDF)]
    桃井 貴子(気候ネットワーク)
    ・持続可能な再生可能エネルギー100%社会の実現 [資料(PDF)]
    松原 弘直(環境エネルギー政策研究所)
  2. 生物多様性、そして森林の危機
    ・IPBESからのメッセージと日本への示唆 [資料(PDF)]
    高橋 康夫(地球環境戦略研究機関)
    ・2019年のアマゾン森林火災騒動 [資料(PDF)]
    古瀬 繁範(地球と未来の環境基金)
  3. 環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)の脅威に改めてどう対処すべきか [資料(PDF)]
    中下 裕子(ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議)
  4. 東京電力福島第一原発事故後の状況 [資料(PDF)]
    伴 英幸(原子力資料情報室)

第3部 欧州における環境NGOの社会的位置づけとそれを支える公的助成

大久保 規子(大阪大学大学院)[資料(PDF)]