【要望書】炭素税は、国民的議論も踏まえて、早期に導入を

2018年8月吉日

炭素税は、国民的議論も踏まえて、早期に導入を

「グリーン連合」共同代表
藤村コノエ、杦本育生、中下裕子

 近年、毎年のように異常気象現象が国内外で発生しているが、今年の夏の豪雨、熱波はまさに、異常そのものであり、気候専門家のかねてからの警告をも上回る規模で、多くの国民の生命・財産が奪われており、改めて、気候変動がもたらす影響の深刻さと、「パリ協定」を実現することの重要性を痛感している。

これまでも、日本の政府や企業は、温暖化対策にそれなりに取り組んできたが、肝心のCO2等温室効果ガスの排出量は、過去26年間の経済動向などを反映して、多少の増減はあるものの、殆ど減少しておらず(直近の2016年では、対策の出発点である1990年比で2.7%増)、気候変動に、より大きな責任を有する先進主要国の中では、唯一増加した国として、その責任が国際社会からも厳しく問われているところである。

安倍総理は、6月4日に開催された「未来投資会議」の席で、「もはや温暖化対策は企業にとってコストではない。競争力の源泉だ。温暖化対策はこれまで国が主導して義務的な対応を求めてきたが、脱炭素化を牽引していくためには、こうしたやり方では対応できない。ビジネス主導の技術革新を促す形へのパラダイム転換が求められている」と、これまでにない前向きな発言をしている。しかし、そのひと月後に閣議決定された「エネルギー基本計画」では、「パリ協定」以前の、化石燃料や原子力発電を重視する政策であり、このことは、日本政府の「パリ協定」への取組姿勢を改めて問われる内容である。

現在、安倍内閣は、2050年80%削減に向けた長期ビジョンの作成に取り組んでいるが、この削減目標を達成するには、炭素税や排出量取引など「カーボンプライシング」と呼ばれる経済的手法の導入が不可欠であり、このことは専門家も長らく主張してきたことである。何故なら、世界的に見れば、既にこの政策を導入している多くの国では、温室効果ガスを削減する一方でGDPは増加するといった効果(デカップリング)が実証されているからである。

しかし、日本では経団連加盟の一部のエネルギー多消費産業と経済産業省の非合理的で執拗な反対により、いまだにこの政策は導入されておらず、このことは、国益を大きく損なうのみならず、次世代を担う子どもたちに、大きな負荷を背負わせる、極めて無責任な対応と言わざるを得ない。

私たちグリーン連合は、長年、現場で多くの市民や先進的な自治体・企業と連携して温室効果ガス削減に取り組み、研究も重ねてきた経験から、地球温暖化を食い止めるには、カーボンプライシング、特に炭素税の導入こそが最も有効な政策であると確信しており、その早期導入を強く要望するものである。

また導入に当たっては、公平・公正で全ての国民の幸福や社会の持続性のための炭素税となるよう、広く国民的な議論を展開することを強く要望する。

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