【意見書】「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」に対する意見書の提出について

「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」に対する意見書の提出について

意見書(PDF)

グリーン連合
共同代表 杦 本 育 生
同    藤 村 コノヱ
同    中 下 裕 子

2021(令和3)年3月、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」(以下「本法案」という)が内閣から提出され、今国会での成立が目指されている。

プラスチック廃棄物問題については、海洋プラスチック汚染の深刻化により国際的課題として取組みがなされ、2019年6月のG20大阪ブルー・オーシャン・ビジョンでは「2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的汚染をゼロにまで削減する」との目標が明記された。

一方、2020年10月には日本でも「2050年カーボンニュートラル(脱炭素)宣言」がなされたことから、石油由来のプラスチックについても、脱炭素の観点からの取組みが求められる。

このような状況において、プラスチック問題の解決については、単に廃棄物管理の強化にとどまらず、「2050年カーボンニュートラル」への貢献も含め、プラスチックの大幅な総量削減と3Rの優先順位に従った循環利用の徹底を通じて、サーキュラー・エコノミー社会を早期に構築していくことが求められており、そのためには、大胆な施策を段階的・計画的、かつ着実に実施していく必要がある。

しかしながら、本法案では、2050年までの中間の年次における削減の数値目標が明記されておらず、規制的措置やカーボンプライシング等の経済的手法も含まれていない単なる促進法にとどまっており、極めて不十分である。

「グリーン連合」は、日本が2019年G20議長国として率先してサーキュラー・エコノミー社会を実現するために、本法案に下記内容を盛り込むことを提言する。

① 2050年石油由来のバージンプラスチックの製造ゼロを目指して、市民参加の下に、バックキャスティング手法により目標年次を定めてプラスチックの総量削減に取り組むこと。

② 事業者の自主的取組みだけでなく、生産者よる回収義務をはじめとする生産者の責任の強化、有害化学物質管理などの規制的手法や、カーボンプライシングの導入などの効果的な措置を講じること。

③ リデュース・リユース・リサイクル・熱回収の比率についての年次目標を、3Rの優先順位に従った形で明確化すること。

④ 2030年使い捨てプラスチックゼロを目標として掲げ、その実現のために、拡大生産者責任を徹底し、製造や提供を禁止するなどして計画的に削減を進めること。

⑤ マイクロカプセルを含めてマイクロプラスチックの意図的製造を禁止するとともに、漁具の回収を義務化するなど効果的な流出防止策を講じること。

以上